その経歴は信じて大丈夫?
どのような求人であれ、履歴書は提出していただくこととなると思います。最近では、正社員の採用であれば、多くの場合は職務経歴書の提出も求められるのではないでしょうか。また、新卒採用であれば、エントリーシートの提出を求められる会社も少なくありません。
これらの書類は、その人が持っている資質のうち、文字で表現しやすい部分についての確認をするためにあります。学歴、資格、過去の業績等が書かれているのが一般的です。これらは、あくまでも本人のごく一部のみを表現しているに過ぎない事は認識しておくべきでしょう。

多くの場合は、この内容そのものは違ってはいないと思います。もしも万一、重要な経歴について詐称があった場合(その資格がないと業務ができない場合等)は、それを理由として解雇することも可能ではありますが、解雇するためには、就業規則等にその規定を盛り込んでおく必要があります。
その経歴が正しいとして、それでも、それをそのまま鵜呑みにするのはご注意下さい。多くの場合は、履歴書や職務経歴書は自己アピールのために書かれていますので、嘘ではなくてもより良く見せるような書き方となっている事があります。
例えば、重要な仕事を成し遂げたように書かれていたとしても、実はその仕事を成し遂げたのはプロジェクトとしてであって、本人はそのうちのごく一部しか携わっていなかったというような場合があります。同様に、大企業で勤務されていた事を高く評価されるケースもありますが、大企業なら通用しても中小企業では通用しない業務も少なくありません。これらの問題点については、面接等で詳しく聞く事によって判断することとなりますが、その時にバイアスがかからないように注意しなければなりません。

学歴については出身校が有名校であれば良いとは限りません。もちろん、本人の資質の良し悪しと学歴は必ずしも一致しないという意味もありますが、それとは別に、与える仕事と学歴とのバランスという問題があります。高学歴の人に単純作業をさせた場合、不満となってトラブルが生じる場合があります。これは、中途採用だけでなく新卒採用の場合でも同じことが言えます。重要なのは学歴ではなく、その人の適性であることは忘れてはなりません。
尚、新卒者の学歴に関しては、できれば幼稚園からエスカレーター式に大学まで卒業したような方は避けた方が無難なようです。というのは、このような方はとても打たれ弱い可能性があるからです。子供の頃から一度も学力による選抜を受けていない場合は、他の事を我慢して勉強をするという経験がありませんし、イヤな事を頑張った結果として良い未来があるという成功体験もありません。また、所謂「お受験」をするような家庭の場合、過剰に守られて育っている可能性もあります。このような方は、ちょっとした失敗や叱責等、少しイヤな事があると、仕事を投げ出す可能性があります。もちろん個人差がありますので、実際に会ってお話をしてみないとわかりませんが、注意が必要です。
逆に言えば、ご自身のお子様については、会社を継がせるのでなければ、お受験は子供の為には良いかどうか良くわからない、という事は考えておかれた方が良さそうです。


2012.08.15



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