震災により会社の資金繰りが悪化し、できれば一部の従業員を解雇したいと考えているのですが、可能でしょうか?
通常の整理解雇と同様の扱いとなりますので、解雇の要件を満たす必要があります
震災によって資金繰りが悪化することは、直接的な被害がある場合はもちろん、直接的な被害がなかったとしてもありうる事態です。しかし、資金繰りの悪化による解雇となると、原因が震災であったとしても通常の資金繰り悪化による整理解雇と同じ扱いとなります。
「整理解雇」となれば、解雇を行う上での4つの要件があり、その要件を満たす必要があります。
1. 人員削減の必要性(業績の悪化等)
2. 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(配転、出向、一時帰休、希望退職の募集等他の手段により解雇回避の努力を果たしているか)
3. 被解雇者の選定の妥当性(客観的合理的基準を公正に適用して被解雇者を選定しているか)
4. 手続の妥当性(労働組合・労働者と十分に話し合い、説明をしたか)
震災が原因であれば、対象となる労働者の選定(3)と誠実に話し合いを行ったか(4)が重要なポイントとなってくるかと思います。

尚、業務上災害(労災)により休業中とその後30日間は該当の労働者は解雇できません。業務上災害が震災前のものであっても震災が原因のものであっても、業務上災害によって休業している労働者に関しては天災事変により事業の継続が不可能であるとの労働基準監督署の認定がなければ解雇できませんので御注意下さい。




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2011.3.26


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