私傷病で休職していた従業員に障害が残った場合、解雇しても良いのでしょうか?
障害が残った状態でどの程度の業務を行うことが可能かによって判断が変わります
従業員数が常時10人以上いる会社では、就業規則の作成・届出義務があります。
この就業規則には様々な事を定めなければなりませんが、私傷病で長期間欠勤しなければならなくなった場合の休職期間も定めていらっしゃる事が一般的ではないかと思います。
この休職期間の長短については法的な定めはなく、各企業で決めて良いことになっています。とはいえ、短すぎるのは好ましくありません。一般的に考えて相当な期間である必要があります。

この休職期間中に、その理由となっている怪我や病気が治って就労が可能となった場合(治癒した場合)はその時点で休職が終了し、復職(業務に戻る)することになります。しかし、この期間中に傷病が治癒しなかった場合は、復職できず自然退職または解雇となります。つまり、休職制度は病気や怪我で業務ができなくなった場合の解雇猶予ということができます。

問題は、この復職が可能となる「治癒」がどの程度であれば良いのか?ということになります。「治癒」とは、病気や怪我の状態が完全に元に戻るということではなく、一定の状態に固定され、再度休職する可能性が低い状況を言います。「就労が可能」という状態は、原則として「休職前の職務(仕事)を通常の程度に行える健康状態に復したとき」であり、ほぼ治ったけれど元の仕事を行える程度にまでは回復していないのであれば復職の権利としては認められない、とする事が基本です。
しかしその際には、単純に身体障害者の障害等級等で判断するのではなく、①その労働者が以前従事していた仕事を査定し、②治癒後の作業能力を見極め、②の能力で①の遂行が可能かどうかを判断する、ということになります。その場合には、当該労働者が労働能力の回復にどの程度努力しているか?や、最初は軽易な作業に就かせることによって通常業務に復帰させることが期待できるかどうか?も考慮に入れる必要があります。

その他に、完全に元の業務に戻させることだけでなく違う仕事であれば復職可能なのであれば、違う仕事に就かせる事によって復職させる道も考える必要があります。もちろん、他の軽易な作業等が存在しない場合や、そのために他の労働者の職を奪うのであれば復帰させることはできなくなり解雇することとなりますが、私傷病による長期休業とはいえ、単純に解雇するのではなく可能な限り復帰させる方法を考えた方がより望ましいと言えます。

いずれにしろ、仕事復帰または解雇に際しては、トラブル回避のためにも当該労働者とよく話し合いをする必要があります。




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2011.8.23


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