残業代の割増賃金の計算に含めなくても良い手当は何ですか?
基本的に労働基準法とその施行規則に除外できると書かれている手当類以外は全て含めることになります
1週40時間・1日8時間を超えて勤務させた場合は、時間外労働として通常の賃金(給与)の1.25倍の割増賃金を支払わなければならないことになっています。
しかし、この「通常の賃金」つまり、割増計算の元となる給与額はどれなのか?が問題となります。もし、給与が全て基本給だけであれば問題とはならないでしょうが、多くの企業では様々な手当を設けている事が多く、そのどれが対象なのか?が問題となります。
労働基準法第37条第5項及び同法施行規則には、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金、は割増計算の元に入れなくて良いこととなっています。

問題は、名称がこの通りでなくても実質的に判断することとなっており(昭22.9.13基発17)、支給している手当がこれに該当するかどうかを考えなければなりません。
この7項目のうち、①~⑤については、労働とは直接関係のない個人的事情によるものなので、労働時間とリンクさせる時間外労働の給与の対象とするのはそぐわないという理由、⑥は通常の労働時間や労働日に関する賃金ではないという理由、⑦は一般的な賃金計算の期間を超えるものであり計算対象とするのは困難であるという理由によります。

これらを踏まえて考えますと、例えば「生活手当」や「物価手当」という名称のものであっても、その金額の算定方法が扶養家族の有無や数によって決まるのであれば「家族手当」に該当しますが、そのような個人的理由ではなく一律の額で支給されていれば該当せず、割増賃金の計算の基礎に入れなければならないことになります。
慶弔手当など、いつ発生するかわからない手当は、通常「臨時に支払われた賃金」に該当することとなります。また、一般的な「賞与(ボーナス)」は「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当しますが、その他にも「勤続手当」や「精勤手当」という名称であっても、その算定期間が1ヵ月を超える場合はこれに該当する可能性があります。

これらに留意して、手当類を割増賃金の計算の基礎とするかどうかを検討する必要があります。もしも、本来計算の基礎とするべきものを入れていなかった場合は、差額を遡り支給しなければならなくなることもありますので、十分な注意が必要です。
尚、割増賃金の計算の基礎としない場合は、その旨を就業規則(賃金規程)に明記した方が良いでしょう。





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2011.12.4


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