年俸制の場合でも時間外労働手当を支給しないといけない?
給与を年俸制とした場合でも時間外労働手当を支給しないといけないのでしょうか?
給与の額に割増賃金を含むという会社と従業員との合意があり、実際の時間外労働時間によって計算した額を下回らない場合は支給しなくても良いこととなります
職務給が導入されたのとほぼ同じ時期から年俸制を導入される会社も増えてきたようです。
年俸制というのは、給与額を時間単位や月単位ではなく年単位で決定する制度です。しかし、労働基準法第2条第2項で毎月1回以上支払わなければならないとなっていますので、実際の支給については各月毎に支払うこととなります。
年俸制は単に基本となる給与を年単位で決定するだけの話ですので、時間単位(時給)や月単位(月給)で決定している場合と同様、それだけでは時間外労働手当(残業代)は別途支給する必要があります。年俸制にしたというだけでは、時間外労働手当の支払義務は免れません。
年俸制の導入が始まった頃に、時間外労働手当を支払わないで良い方法としてコンサルティングした人がいるようで、今でもそのように考えている方がいらっしゃるようですが、従業員との関係が雇用関係である以上は、時間外労働手当は別途支払わなければなりません。

年俸制で給与を支払う場合、一般的には、年俸制で定めた年間の給与額を12等分して各月に支給したり、20等分程度にして各月以外に賞与月にも支給したりすることが行われているかと思います。しかし、もし各月に時間外労働(残業)が発生するのであれば、それは年俸を基に計算した割増賃金を支払わなければなりません。
年俸制で雇用する場合は、時間単価としては高くなる事が多いですので、当然に時間外労働手当も高額となります。十分な注意が必要です。

もし、別途の時間外労働手当を支払わないようにしたい、ということであれば、年俸で決めた額の中に時間外労働手当に該当する額も含まれているという取り決めをする必要があります。当事者との契約にそのような内容を盛り込むのはもちろん、就業規則(賃金規定)にもその旨を記載した方が良いでしょう。
その場合に、給与額のうちの時間外労働手当の部分を明確にし、その額の根拠となっている割増賃金としての単価や対象としている時間数等に関する計算式等を明記する必要がある等については、管理職手当等と同じ扱いとなります「時間外労働手当の意味も含めて管理職手当を支給しています。この手当は割増賃金の計算に入れないといけないのでしょうか?」。
可能であれば、年間で決めた給与額のうち時間外労働手当部分を切り分けて契約書を作成し、給与明細書等にも記載する方が良いでしょう。
尚、当然のことながら、時間外労働手当に該当する金額が実際に計算をした時間外労働手当の額より少ない場合は、その差額を支給する義務が生じます。





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2012.1.8


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