合理化のために一部部署を縮小しました。これに伴う他の部署への配転命令に従わない従業員を解雇できますか?
就業規則に配転命令権の根拠規定があり、業務上の必要があれば認められる可能性が高くなります
事業の一部の廃止・縮小により解雇を回避するための配転(配置転換)や出向を行うことがあります。この場合、何の手立てもなく「解雇より良いだろう」と配転命令や出向命令を下すことは好ましくありません。
まずは、就業規則に配転・出向に関して会社に命令権があることを明記しておく必要があります。そして、その配転・出向が業務上必要であると判断できるのであれば、原則として配転命令・出向命令は有効とされます。
もしこれらの条件が揃っていて、従業員が配転命令を拒否するのであれば、それは業務命令違反として解雇できることとなります。これは、あくまでも業務命令違反による解雇であって、整理解雇ではありません。
しかし、業務命令違反だとしても、いきなり解雇することは好ましくありません。
まず、その配転命令・出向命令を下した従業員が適切であるかどうか?という問題があります。もしここで、恣意的に解雇を目的として人選をしているのであれば、それは不当解雇とされる可能性もあります。あるいは、不当解雇でなかったとしても整理解雇と判断され、整理解雇の四要件に照らし合わせる必要が出てくるかもしれません。人選に当たっては、たとえば家族構成や配転・出向後の家庭環境等について、極力悪影響の少ない人を選ぶ必要があります。
また、1回だけの拒否でいきなり解雇することも好ましくありません。当該労働者と十分な話し合いの機会を設け、配転・出向後の不利益を極力少なくする等によって、本人の了解を得る努力をする必要があります。
当然に、その配転・出向が業務上行わなければならない状況であることは言うまでもありません。
配転・出向も、解雇ではないとしても労働者の生活に大きな影響を及ぼすこととなります。労働者の同意・協力が得られるよう、真摯に対応する必要があります。
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2011.9.20