時間外労働の時間数を算定するにはタイムカードに基づいて行えばよいのでしょうか?
労働時間管理の実態によっては、タイムカードの打刻だけでは算定できない場合もあります
そもそも、時間外労働に関する賃金(時間外手当・残業代)は、管理者が時間外労働を命じた場合か、黙示的にその命令があったものとみなされる場合で、かつ管理者の指揮命令下においてその命じられたとおり時間外労働がなされたときのみに支払われるものとなっています。所定時間・法定時間を越えて労働したというだけで、即時間外労働とされるものではありません。
タイムカードの打刻は時間の表示だけですので、それだけでは打刻された時間中が管理者の指揮命令下にあったという判断はできないこととなり、タイムカードで従業員の労働管理をしていたという客観的な証明ができない場合は、タイムカードだけでは不十分ということになります。しかし、多くの会社ではタイムカードで従業員の労働時間を管理しているとのが一般的であると思われますし、タイムカードにより時間外労働時間を算定するのが一般的と言えるのではないかと思われます。

特に営業職等事業場(事務所)外へ出る仕事の場合、時間管理は非常に難しいものとなります。工場労働を基本に組み立てられた労働基準法の不備でもあるのですが、現状ではこれに従うしかありません。機械的な打刻であるタイムカード以外に、実際の労働時間を算定できる手立てを考えておかれたほうが良いということになります。これは、客観的な資料であるに越したことはありませんが、手書きの始業終業時刻の一覧表の他、日報等の利用、パソコンのログイン・ログアウト時間での算定、業種独自の時間に関する規定(運送業における点呼簿等)の利用等が考えられると思います。

尚、どのような形であれ、経営者には時間管理をする義務が求められます。時間管理が難しい業種であったとしても、これをおざなりにすると会社側に不利となりますので注意が必要です。




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2011.4.13


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