早期退職優遇制度により会社が承認した人の退職希望者を募っていました。この時に早期退職優遇制度としての承認を得ないで退職をした人にも割増退職金を支払わなければならないでしょうか?
早期退職優遇制度の優遇措置適用の要件として会社の承認を定めていた場合は、会社の承認を得ないで退職した労働者には優遇措置は適用しなくても良いことになります
早期退職優遇制度は、定年退職の年齢になる前の労働者に対し、一定の条件のもと通常の退職金のほかに割増金を支給する等の優遇措置を行う制度です。優遇内容は、退職金の割り増しをされる事が多いですが、各企業で自由に定めて構いません。
このような優遇措置を設けて定年前の従業員に退職していただくことにより、従業員の年齢構成を改善し、企業の活性化を図ったり、雇用調整を行ったり、高齢の従業員であるための賃金の高額化を回避するなどの効果を求めるものです。
この早期退職優遇制度の適用に際しては制限を設けて良いのかどうかという問題がありますが、例えば年齢等客観的な理由で制限を設ける事自体は問題ありません。その範囲内で優遇措置の対象とするかどうかの承認を会社が行う事に関しては、承認しなければ雇用が継続されることとなり労働者に不利益を強いるものとは言えず、不合理な内容でない限りは認められると言えます。
会社にとって有益な従業員は残したいと思う事も多いと思われますが、このような有益だから残っていただく従業員に、よりモチベーションを上げられるような方法で承認内容を決められるのが良いと思います。残っていただいたことにより不利益となるような事態は避けなければなりません。
そのうえで、その労働者の意思として早期退職優遇制度の承認を得ずに退職をされた場合は、退職金の割り増しは必要ないということになります。
ただし、過去において全ての退職者に割増金が支払われていたなど、会社の承認に関わりなく退職金の割り増しが期待されるような慣行がある場合は、たとえ就業規則等に承認制の規定があったとしても割増金の支給をしなければならない場合もありますので、御注意下さい。
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2011.8.15