【マイナンバー制度】通知カードの受取り拒否をお考えの皆様へ
有名人の方等がSNS等で提唱されたために、通知カードの受け取りを拒否するとお考えの方がいらっしゃるようです。しかし、それは全くの間違いですので御注意下さい。マイナンバー制度に賛成・反対に関わりなく、通知カードは必ず受け取って下さい。以下に、その理由を述べます。

⇒ 個人番号(マイナンバー)の通知カードを受け取らなかったとしても、10月5日現在で住民票登録をされている全ての方には番号がすでに割り振られています。通知カードを受け取るかどうかと番号が付くかどうかとは関係ありません。
 番号が付く事自体を嫌がっていらっしゃる方がいらっしゃいますが、今となっては、日本国内に住民票がある全ての方に個人番号は付いています。通知カードを受け取らなかったとしても番号はついたままです。通知カードの受取を拒否しても番号が無くなる事はありません。
 尚、国が国民に付けている番号は、個人番号(マイナンバー)以外にも沢山あります。住民基本台帳番号、基礎年金番号、健康保険番号、運転免許証番号etc…。個人番号(マイナンバー)だけを拒んだとしても、あまり意味はありません。

⇒ 通知カードを受け取らない人が多数生じたとしても、マイナンバー制度そのものは廃止されません。
 住民基本台帳制度が失敗したのは、住基カードを作成しなかった人が多かったから…という話はデマです。そもそも住民基本台帳制度そのものは今のマイナンバー制度に発展的に引き継がれています。制度が失敗したという話は正しくはありません。
 通知カードを受け取らない事や個人番号カードを作らない事で、マイナンバー制度を廃止に持ち込む事はできません。むしろ、住基カードが浸透しなかったという教訓から、個人番号カード(マイナンバーカード)は強制的に持たせる方向に進んでいます。
 もし本当にマイナンバー制度を廃止したいのなら、マイナンバー制度に反対している政党を政権政党にする他には、ほぼ方法はありません。

⇒ 通知カードを受け取らなかった事によって、自分自身の個人番号(マイナンバー)がわからない事になったとしても、それによって国が困る事は何もありません。
 そもそも国側は個人番号(マイナンバー)を保持しているのですから、提出書類に番号を書かなかったからといって、それですぐ国の業務が停止することはほぼありません。現に提出書類に個人番号(マイナンバー)がなかった場合の対応として、内部で確認するという事になっています。それでも各企業から提出する書類に個人番号を書かせる事に、私は疑問を持っていますが、それはそれとして、書類に個人番号を書かなかったからといって制度反対に寄与することはないと言えます。
 個人番号がわからない事によって困ることになるのは、会社の担当者と個人番号を知らないあなた自身だけです。
 尚、会社に番号を知らせない事によって制度を廃止させるということもありません。会社に個人番号(マイナンバー)を知らせないという行為は、会社の担当者を困らせる嫌がらせにしかなりませんので、しないようにして下さい。

⇒ 通知カードが返送された事によるデメリットを考えましょう。
 市区町村に通知カードが返送された場合、その方の住民票の情報として通知カードが返送された事がなんらかの形で記録される可能性が高いです。決まっていることではありませんが、情報を管理する側としては、通知カードが届いていない人としての管理は必要となるでしょう。それによって何らかの不利益があると決まっているわけではありませんが、あまり気持ちのよい事ではないように思います。
 また、返送された通知カードがどのように扱われるのかは、今のところ法的な決まりは何もありません。おそらくは保管期間(概ね3か月)を過ぎれば、シュレッダー等で破棄されるのだろうとは思われますが、確実に番号がわからないように破棄されるかどうかは不明です。個人番号(マイナンバー)の管理については、自分自身で管理するより返送された方が、状況が悪くなることも十分に考えられます。

⇒ 今後の対応を考えましょう。
 通知カードを受け取った次にある個人番号カードの申請につきましては、今のところ義務ではありません。このため、申請するかどうかは各自でお考えいただく事となります。
 しかし、義務ではないのは「今のところ」だけです。現在、個人番号カードを健康保険証にするという案が出ています。これは実現の可能性が非常に高いのですが、もし個人番号カードが健康保険証になるのであれば、個人番号カードは持たざるを得なくなり個人番号カードの申請をしなければならなくなります。その時には、当然に自分の個人番号(マイナンバー)を知っておく必要があります。
 もちろん、住民票を個人番号(マイナンバー)付きで取得すれば、個人番号(マイナンバー)はわかりますが、余分な費用も掛かりますし、個人番号付きの住民票の扱いの問題も生じます。それを考えれば、通知カードを保管しておく方が無難という事になります。

「なんとなく気持ち悪い」「なんとなく不安」というだけで通知カードの受取りを拒否するのは、御自身にとってのデメリットの方が大きい可能性が高いです。マイナンバー制度だけではありませんが、キチンと正しい事を知って対応する必要があります。
通知カードは、受け取るだけは受け取りましょう。

「マイナンバー制度には罰則がある」という話ばかり広がって、非常に怖いものだとお考えの方もいらっしゃるようですが、そんなに恐れる必要はありません。普通に大切に保管されるだけで問題はありません。但し、現状では勤務先の会社等へ通知する以外には、他人に知らせないようにだけ御注意下さい。
2015.12.14



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