面接での注意点<2>
前回の 面接での注意点<1>でも書きましたが、面接にはいくつかの段階があると思います。多くの場合、それは面接の回ごとに変わることが多いと思います。
しかし、中小企業の中途採用では面接を1回だけにされる事も多いと思いますし、採用人数も応募者数もそんなに多くない時は1回だけで問題はないと思います。その場合であっても、その1回の面接の中で二つの段階を設けていただいた方が良いと思います。
その段階とは、本人がどのような人物なのかを聞き出す段階と、自社がどのような会社であるかを伝える段階です。

多くの場合、どのような人物であるかを聞き出す段階は行われていると思います。しかし、その内容が十分でない事も散見されます。
まずは、どのような人を採用したいのか?を具体的に明確になさって下さい。そして、それに近い人物であるかどうかを判断するための回答を引き出すような質問をする必要があります。例えば、問題解決能力が高い人を採用したいような場合に「過去の失敗例を聞かせて下さい」というような質問をする、といった具合ですが、そもそも採用したい人物像がその時その時で違うでしょうし、企業によって聞くべき問題点も違うと思いますので、質問内容については自社での工夫が必要となります。
また、履歴書や職務経歴書に書かれた事を深く掘り下げるような質問も必ず必要でしょう。ここで明確な回答を出せない人は、書かれた通りの実績がない可能性があります。この場合、その能力に疑問が生じるのと共に、正しい報告をしない人である可能性も生じますので、採用すべきかどうかには注意が必要となると思われます。
そして、少し答えにくいような質問もした方が良いでしょう。この時に冷静に回答できる人であれば、信頼できる可能性が高くなります。

もう一つの段階である、どのような会社か?を伝える事はあまり行われていない事も多いのではないかと思います。もちろん、労働条件に関する事は伝えていらっしゃるとおもいますが、会社の理念や社長の思い入れ等について、お話されている事はあまりないのではないでしょうか?
応募者がどのような人物かを聞き出す段階の面接、つまり担当者レベルの面接であれば、比較的応募者に話させる形になるかと思います。これは複数回の面接をされる場合は、1回目、2回目の面接内容となります。しかし、最終面接となり、経営者レベルの方が面接をされる時は、必ず、何を考えて何を目指してどのように経営している会社なのか?を経営者ご自身に熱く語っていただきたいと思います。
この時に、目を輝かせて話を聞く人なら、会社の方針に従ってくれる可能性が高いですが、お付き合い程度の表情だったり、ましてつまらなさそうに聞いていたりする場合は、採用しても会社の方針と違う事をされる可能性が高くなります。後者のような方はできれば採用しない方が望ましいということになります。
求人広告を出す段階で、会社の理念や社長の考え方をキチンと入れ込む事ができれば、比較的この段階はスムーズに進む事ができます。最初から会社のベクトルに合った人と出会う事ができれば、採用後もトラブルは起きにくくなります。そういう意味でも、求人広告は非常に重要なものとなります。

尚、圧迫面接と言われる高圧的と取れるような面接は、私は必ずしも否定するべきではないと思っています。ただし、必要の範囲においての事です。過剰な圧迫は却って企業イメージを損ないますので、十分にご注意下さい。面接に来られた方は、御社のユーザーでもありうることを忘れてはなりません。
高圧的な面接は、かなり採用の可能性が高い人で、仕事内容に一般的に不快と感じやすい対応等が含まれる場合には、対応可能な方なのかどうかを確認するために行うのは効果的だと思います。しかし、入社後に担当していただく仕事とは直接関係がないのであれば、むやみに行うべきではありません。

その他、一般的に面接の場にはふさわしくないと言われている質問の例を挙げておきます。これらの質問をしたからといって違法ではありませんが、避けた方が好ましいとされています。これらのうちでも、業務に直結して必要な場合は、やむを得ない事もありますので、ケースバイケースだとお考え下さい。また、採用側から質問するのは好ましくありませんが、応募者本人から話をすることは問題ありません。
尚、以下はあくまでも例であって、これが全てではありません。

1.本籍地に関すること
  直接本籍地を聞くだけでなく、以下の質問も好ましくありません。
  ・出身地はどこですか?(家族を含む)
  ・生まれてからずっと同じところに住んでいますか?
2.家族に関すること
  ・お父さんの職業(勤務先・役職)は何ですか?
  ・兄弟姉妹は何をしていますか?
  ・家の家業は何ですか?
  ・ご両親の学歴を教えて下さい。
3.思想・宗教等に関すること
  ・支持政党はありますか?
  ・あなたの家の宗教は何ですか?
  ・あなたの愛読書は何ですか?
  ・あなたの尊敬する人物は誰ですか?
  ・労働組合運動(学生運動)をどう思いますか?
4.男女差別になりかねない質問
  ・結婚(出産)後も働きますか?
  ・結婚していますか?子供はいますか?
  ・恋人はいますか?


2012.10.28



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