採用決定の基準は?
 最終的な採用は、ペーパーテストや面接等を行って、その結果を踏まえて採用する人を決定することとなります。
 すでに「無理して採用しようとしない」に書いていますが、このときに適切な人がいなかった場合は、採用を見送るという選択肢も必要になってきます。採用活動には手間暇が掛かり、お金も使ったのだから…というお気持ちはわかりますが、好ましくない人を採用してしまった後の時間的金銭的ロスの方がはるかに大きなものとなり、場合によっては企業の根幹を揺るがしかねない事態ともなりうることを考えれば、ここで甘い判断をするべきではありません。

 これもすでに述べておりますが、採用される基準は、何よりも「御社と同じベクトルで物事を考える事が出来る人かどうか」に重点を置かれる事をオススメします。どんなに良い経歴の人でも、どんなにペーパーテストで良い結果を出した人でも、御社の考え方に沿えない人は採用するべきではありません。
 そのためにも、求人広告を出す時点から、「御社の考え方」を明確に打ち出す必要があります。まずは、経営者が何を考えて会社を経営していらっしゃるのか、この会社はどこへ向かおうとしているのか、そのためには会社として従業員として何をしなければならないのか、という事を明確にしておく必要があります。伝えなければならない事を考えれば、明確にするだけではなく明文化する方が良いでしょう。明文化するには経営理念という形が一番わかり易く、すでに勤務されている従業員の方にも伝えやすいので良いと思います。しかし、必ずしもその形にこだわる必要はありません。実際に行っている業務を見せる事によって、それらが表現できるのであれば、その形が一番良いかもしれません。
 想いを十分に伝えるには、文字数が多い方が伝わりやすいということになりますので、そういう意味ではハローワークの求人票は一番不向きで、求人サイトや求人誌等も低額で利用しようとすれば記載できることは少ないですので、あまり好ましくはない事となります。かといって、「そんなに多くの費用は掛けられない」という企業も多いと思います。一番廉価で伝えやすい方法は、自社のwebサイト内に充実した求人ページを作成することです。これは求職者が見るだけでなく、御社との取引を考えている企業へのアピールともなりますので、検討するべき方法です。もし、具体的な記載すべき内容等を知りたいと思われます場合は、お手数ですが直接お問い合わせ下さい。

 ところで、あくまでも一般論ですが、女性はペーパーテストでは良い結果を出す傾向が高いようです。しかし、それが実際の勤務に正しく反映されるかどうかは疑問の残るところですので、それだけで判断するのは危険かもしれません。十分な注意が必要です。
 実は、採用した方が良い人・採用しない方が良い人の目安もあるのですが、それについては、申し訳ありませんが別途お問い合わせ下さい。
 ただ、一つだけお話しますと、「縁故」の採用は、あまりオススメできません。昔は、縁故採用すれば、採用された人は間に立った方のご迷惑にならないように…と、一生懸命仕事をし、それによって良い結果を出し、良い評価を得て収入も高くなる、という良いスパイラルが働いたのですが、今はそのような認識を持っている方はごく少数となってしまいました。むしろ、「縁故なのだから優遇しろ」という感覚の方も少なくありません。しかし、採用した側は、間に立たれた方との関係性から、縁故採用した人に対して、その仕事の出来等に関わりなく無碍な扱いをすることもできず、他の従業員との関係性が悪くなって、結果的に社内がメチャクチャになることも少なくありません。よほどしっかりした方でない限りは、縁故採用は避けられた方が無難です。
 その他にも、面接された方の多く、特に経営者の方が「なんとなく合わない」と思われた方は避けられた方が無難です。そのような方を採用された場合は、トラブルとなる可能性が高くなります。これは、明確な言動ではなかったとしても、経営者や会社の考えと合わない事を感じたから「なんとなく合わない」と思ったというケースが多いようです。明確に否定すべき材料がなくても、「違う」と感じた場合は、避けた方が良いようです。また、人間は相手の感情を感じるものですので、従業員側としても受け入れられていないと感じれば否定的な行動に出やすいという傾向があるのも原因の一つではないかと思われます。非科学的と思われるかもしれませんが、第六感は軽視すべきではないようです。


2012.12.14



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